それでも逝きたい者達へ

メンヘラと認めたくない精神障害者のはなし

あたしはバンドマンになりたかった

 

来世はバンドマンになるんだ。

男でも女でもいい、歌が歌いたい、叫びたい。

まあ、来世なんてごめんだけれど。

 

あたしはバンドがやりたかった。

音楽が好きだった。

まあ、陰キャなんで無理だったんですけど、口で言うだけならタダって事で。

いつからかロックバンドのCDを漁り続けては好みのバンドを探していた。沢山の音楽に出会った。王道恋愛ソングもいいし、バチバチのロックもいいし、洋楽も、ちょっと狂った歌詞も、独特な歌声も。

自分が歌う時のロングトーンにビブラートが自然と入っていることを知った。歌い方というものを知っていく。裏声、ミックスボイス、しゃくり、こぶし。

いつしかしゃくりが癖になった。これは椎名林檎を聴きすぎていた時期だった。

気付けば音域がかなり広がって、色々な歌が歌えるようになった。

 

 

 

https://twitter.com/kemu8888/status/1149592560416878597

 

[色々あって、生きることへの執着が強くなりました]

 

あたしが出会ったのは何年前だったかな。とあるリズムゲームの音楽やっててさ、色んなバンドがいて、声優が歌って。その中のメインバンドのボーカルが、声優兼バンドマンだった。

PENGUIN RESEARCH[ペンギンリサーチ]

とにかく歌詞も音楽もド直球の世代、エモさ、後々知る事になるベース兼作詞作曲が有名ボカロPであったこと。(詳しくはリンク先のTwitterを見てほしい)

 

あたしはこのPENGUIN RESEARCHというバンドに救われたと言っても過言ではない。まだメジャーバンドじゃないから地方ライブなんてやってなくて、田舎住まいには行きにくい。

たまたま上京期間中に野音があった。あたしはもうドキドキして、汗を流しながらコールアンドレスポンスをする。ずっと跳ねてタオルを回して、夢のような時間だった。

あの時はちょうどアニメ「ゾイドワイルド」の主題歌をやってたんだ。WILD BLUE。

シングルも同時期に出ることになるんだけれど、そのライブで初公開された「少年の僕へ」。

 

https://youtu.be/RcU1xqYlpFU

 

薄い音楽パンフレットと一緒に配られた歌詞カード。A4サイズの薄っぺらい紙に、ただ打ち込まれただけの歌詞。あたしはこの歌詞を見ながら、曲を聴きながら、泣くことを許されたかった。

 

「生きることへの執着が強くなりました」

 

ああ、この言葉に、この歌詞が全て詰め込まれているのだろうと。(歌詞は自分で調べてね)

当たり前のように何度も色んな人がぶつけてきた、「生きてればそのうちいい事があるよ」。あたしは勿論この言葉が嫌いだ。

未来に確信なんて、絶対なんてものは無いし、生きたくないものは生きたくないのだ。頑張ってみたって報われない事もある。だから無理に頑張りたくないんだ。そう。そうなんだ。

そう想いながら聞いて欲しい、少年の僕へ。

 

ライブ会場で、人前では寡黙なベースが長々と話していたような気がする。全てはこの歌詞に詰まっているけれど、このメンバーに出会えて、音楽が出来て良かったと、笑っていたような気がする。あたしも出会えて良かった、PENGUIN RESEARCH

 

 

https://youtu.be/Cy4D86mAKFE

 

そして暫くしてから出会う、「それでも闘う者たちへ」。

いいから聞いて欲しいとしか言えない。ダイレクトマーケティングがなんだ。いいんだ、いいから聞いてみてくれないか。

あたしが1番死のうと思っていた10月、11月。

この曲を聞き続けて生き延びた。丸一日リピートしていた日もある。小さな音で流し、眠ったこともある。

もしかしたら賛否両論かもしれない。結局は死ぬなとボーカルは叫ぶのだから。だけどあたしは救われた。ただ空虚の中で、何も無い暗闇で、死ぬことが希望だと思いたかったあたしを、この曲は救った。

確かに命を、ひとつの命を救ったんだよ、といつか伝えられたらいいのに。と、切に願う。